米国でのLSDと鬱病の研究

過去の研究成果

1970 年代初頭、米国Pittsburgh大学に在籍し、麦角の成分LSDの合成法のひとつを確立しました。 その成果は、合成のトップ専門誌に論文掲載されました。* 1)
この時期にトップレベルの専門的な合成方法を学び、また研究とは何なのか、何の為にするのか、誰のためのものなのかを深く考えました。

LSDからの発展:麦角アルカロイド研究の進化

当時ホフマン博士の発明した、麦やとうもろこしに寄生する、麦角菌の培養液からつくられるLSDは庶民には高価でした。彼の開発したLSDをもとに、更に深く研究を進め、 より優れたより安価な鬱病やPTSDの治療に効果的である医薬品をつくれるのではないかと、一流の化学者達は考えていました。それ故、麦角アルカロイドを化学的に合成する研究が盛んに行われ、世界中の著名な化学者達が挙って挑んだ最先端の研究でした。

実際に、臨床試験では「LSD は適切な用量と投与であれば鬱病や PTSD の治療に効果的」であることが示されています。

Lysergic acid diethylamide (LSD) hallucinogenic drug, molecular model. Atoms are represented as spheres with conventional color coding: hydrogen (white), carbon (grey), oxygen (red), nitrogen (blue)
※LSDとは、(リゼルグ酸ジエチルアミドまたはリゼルギン酸ジエチルアミド(英: lysergic acid diethylamide)ドイツ語「Lysergsäurediethylamid」の略称、LSDとして広く知られている。 スイスの科学者、薬理学者であるアルベルト・ホフマン (英: Albert Hofmann, 1906 年 1月11日 - 2008 年 4月29 日)によって発明。他にも、マジック・マッシュルームから シロシビン、シロシンを発見したことでも知られる。そして 精神薬理学の端緒を開き、ノーベル賞選考委員に選任されている。
* 1) Intramolecular [3 + 2] cycloaddition reactions in the indole series "The nitrile oxide route to the ergot alkaloids". 1. Chanoclavine I. Alan P. Kozikowski and; Hitoshi Ishida, J. Am. Chem. Soc. 1980, 102, 4265–

Other research